ジムの物件候補が見つかると、気になるのが「その建物で本当にジムを開けるのか」です。契約後に出店できないと分かれば、費用が無駄になりかねません。このページでは、用途地域(都市計画)と建築基準法という2つの確認事項を、公的資料をもとに整理します。
本記事は一般的な情報の整理であり、法的な助言ではありません。個別の物件の可否は、特定行政庁(建築指導課など)や建築士に確認してください。
関門①は用途地域(その場所でその用途の建物を使えるか。建築基準法第48条・別表第二)、関門②は用途変更の確認申請(既存建物の転用に手続きが必要か。同法第6条・第87条)です。
条文に「ジム」という用途名は見当たらず、ジムが法令上のどの用途に当たるかは、特定行政庁(建築行政を担う都道府県や市の長)の判断を含みます。同じ条件の物件でも、自治体で扱いが異なる可能性があります。
FC本部が内装設計を用意していても、それは内装の設計の話です。物件側の用途地域や既存建物の用途変更は別の確認事項として、物件ごとに確認が必要です。
建築基準法は、別表第一(い)欄の特殊建築物に確認申請などの規制をかけています。同欄(三)項の「学校、体育館その他これらに類するもので政令で定めるもの」について、施行令第115条の3第2号が「スポーツの練習場」などを挙げています。確認した範囲で、これらの条文にフィットネスジムの記載は見当たりません。ジムを「スポーツの練習場」とみれば特殊建築物の扱いとなり、後述の確認申請の対象になります。
以下は確認できた自治体の例で、全国の傾向を示すものではありません。
民間の解説では、規模や性格で分かれるとされています。東京海上ディーアールのコラム(2024年5月)は、日本建築行政会議の適用事例(2022年度版)を根拠に、200㎡程度以下で近隣住民のみを対象とするものは「学習塾等」、24時間営業のものは「スポーツの練習場」と扱われると整理しています。自分の物件の扱いは、特定行政庁に確認してはじめて分かります。
※参照元:神戸市/京都市/名古屋市/取手市/東京海上ディーアール
用途地域は13種類あり、市町村は特別用途地区などで、条例により制限を強化・緩和できるとされています(国土交通省)。種類だけでは判断できません。
確認した範囲では、東京都都市整備局の用途制限表に「ジム」「フィットネス」の行はなく、近い行はボーリング場・スケート場・水泳場・ゴルフ練習場などの運動施設です。近い行があっても、ジムがその行に当たるとは限らないため、近い行の記号だけで可否は判断できません。同表は店舗などの行に150㎡以下から10,000㎡以下までの面積区分を設けており、同じ用途地域でも面積で扱いが変わりえます。そのため、用途地域ごとの可否は示しません。
自治体のホームページの地図で確認できる場合があります。ただし松戸市は、ネット上の情報は参考で、最終確認は都市計画課の窓口としています(一自治体の例)。用途地域の指定のない区域にも、建築基準法第48条第14項の定めがあります。
ロードサイドの空き店舗や居抜き物件をジムに転用するなら、用途変更の確認申請が必要かが論点です。
建築基準法第87条第1項は、用途を変更して第6条第1項第1号の特殊建築物とする場合に、確認申請の規定を準用します。同号の対象は、別表第一(い)欄の特殊建築物で、その用途に供する部分の床面積の合計が200㎡を超えるものです。分かれ目は次の3点です。
200㎡の基準は、2019年6月25日施行の改正(平成30年法律第67号)で、100㎡超から引き上げられました。
1坪は約3.3058㎡(400÷121)で計算します。
| 坪数 | ㎡に換算 | 200㎡との関係 |
|---|---|---|
| 60坪 | 約198.3㎡ | 200㎡以下 |
| 60.5坪 | 約200.0㎡ | ちょうど200㎡(「超える」ではない) |
| 80坪 | 約264.5㎡ | 約1.32倍 |
| 120坪 | 約396.7㎡ | 約1.98倍 |
例えば80〜120坪の物件なら約264〜397㎡で、200㎡を超えます。ただし判断に使うのは「その用途に供する部分の床面積の合計」で、賃貸面積や営業面積と同一とは限りません。数え方は特定行政庁・建築士に確認してください。
| 前の用途の例 | 条文上の考え方 |
|---|---|
| 事務所など特殊建築物でない用途 | ジムを特殊建築物とみて200㎡超なら、申請の対象となりうる |
| 物販店舗 | 同条は同じ号の用途どうしを類似とする。物販店舗は第8号、体育館・スケート場などは第7号で、ジムの記載はない |
| 体育館・スケート場など(第7号) | 同じ号なら類似の用途。ただし地域に関するただし書もある |
どの行も条文だけでは結論が出ず、「類似だから不要」「類似でないから必要」のどちらも、特定行政庁に確認してから判断してください。
特殊建築物への用途変更でも、200㎡以下なら確認申請は不要ですが、不要になるだけで、建築基準法への適合義務は残ります(東京都、国土交通省の資料)。分けて変更すれば手続きを避けられるとも限らず、取手市は2回目の計画が1回目の時点であれば1回目に確認申請が必要とし、新宿区は意図的な回避を実態で判断するとしています(自治体の例)。
居抜きでは、前のテナントの用途も確認事項です。
※参照元:国土交通省(報道発表)/東京海上ディーアール/東京都/国土交通省(改正概要)/新宿区/e-Gov法令検索(建築基準法・施行令)
郊外の物件は、市街化調整区域にあるかもしれません。都市計画法第43条は、市街化調整区域内(開発許可を受けた開発区域などを除く)で、新築や改築に加え用途の変更についても、都道府県知事等の許可が必要になる場合を定めています。名古屋市の例では、既存建築物の用途変更でも、事前相談で許可の要否の判定を受けてから許可申請を行います。ジムへの変更が許可されるかは個別の事情と自治体の基準によるため、契約前に所管窓口へ確認してください。
新築や増築を伴う場合は、用途変更とは別に建築確認(建築基準法第6条)が必要になる場合があります。駐車場の条例についても、別記事で解説しています。
※参照元:e-Gov法令検索 都市計画法/名古屋市
特定行政庁は、建築主事を置く市町村ではその市町村の長、それ以外では都道府県知事です(建築基準法第2条第35号)。千葉県の例では、市長が特定行政庁である市は県の窓口一覧から除かれ、市の窓口が担当します。全国の一覧は、全国建築審査会協議会の「特定行政庁一覧」(令和8年4月1日現在)で確認できます。
| 確認したいこと | 主な窓口の例 |
|---|---|
| 用途地域・地区計画など | 市町村の都市計画担当課 |
| 建築基準法上の扱い・用途変更の確認申請 | 特定行政庁の建築指導課など |
| 市街化調整区域での用途変更の許可 | 都道府県・市の開発許可の担当課 |
名称は自治体で異なり、相談できる範囲も窓口で違います。足立区の建築確認の事前相談は予約制で、敷地に特定の用途の建物を建てられるかといった、複数の法令の総合判断を要する相談は対象外です(一自治体の例)。
前の用途や検査済証の有無は、建築士に調査を依頼する場面です。名古屋市には、確認済証・検査済証の交付年月日を記載する「建築確認台帳記載事項証明」があります(請求できるのは建築主や所有者など)。検査済証がない建物の調べ方として、国土交通省が「既存建築物の現況調査ガイドライン」を公表しており、用途変更も対象です。
建築関係の確認の次は、消防署・保健所への事前相談です。
※参照元:全国建築審査会協議会/千葉県/足立区/名古屋市/国土交通省/東京海上ディーアール
ジムの物件選びでは、用途地域と建築基準法の2点を契約前に確認することが基本です。フィットネスジムは法令に用途名が見当たらず、扱いが自治体で分かれうるため、用途地域は都市計画の担当課、用途変更の確認申請は特定行政庁、市街化調整区域の許可は開発許可の担当課に、自分の物件について確認することが欠かせません。
個別の物件の可否は、特定行政庁や建築士の確認によって決まります。出店場所に合ったフランチャイズ本部を比較したい方は、以下もご覧ください。
ジム開業では、出店場所によって成功のポイントが異なるため、立地に合ったフランチャイズ(FC)選びが重要です。
例えば都市部はブランド力や集客力、郊外は継続利用につながる顧客満足度、商業施設は施設来館者を取り込む運営ノウハウが求められます。当メディアでは、それぞれの出店形態で実績を持つフランチャイズ(FC)のTOP3を紹介していますので、ぜひ出店計画の参考にしてください。
3つの異なるフランチャイズの「戦略・強み・収益性の違い」をひと目で比較できるよう、表にしました。なぜこのモデルがおすすめなのか、他の選択肢とどう違うのかを詳しく紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
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|---|---|---|---|
| 実績 ※全国店舗のうち 場所ごとの店舗数 |
三大都市の店舗数 670/1846店舗※2 |
郊外の店舗数 120/160店舗※3 |
商業施設内の店舗数 30/31店舗※4 |
| 初期投資総額 | 1,500万円〜 | 6,300万円 | 公式HPに記載なし |
| 平均投資 回収期間※5 |
公式HPに記載なし | 42ヶ月 | 公式HPに記載なし |
| 直営店舗数・ FC店舗数※6 |
全国1,846店舗 (直営・FC不明) |
全国160店舗 (直営62店舗/FC98店舗) |
全国31店舗 (直営・FC不明) |
| 必要坪数 | 30〜60坪 | 80~120坪 | 公式HPに記載なし |
| 契約期間 | 7年 | 5年 | 公式HPに記載なし |
| 運営スタイル | 無人型 | 有人型 | 有人型 |
| 顧客単価※7 | 月額3,278円(税込) |
月額6,570円~8,800円 (税込) |
月額3,300円(税込) ※家族2人まで利用可能 |
| 公式HP |
※1 参照元:ワールドプラスジム公式HP|2026年1月調査時点(https://franchise.worldplus-gym.com/)
※2 参照元:chocoZAP公式HP|2026年1月調査時点(https://chocozap.jp/studios/search/area)
※3 参照元:ワールドプラスジム公式HP|2026年1月調査時点(https://franchise.worldplus-gym.com/)
※4 参照元:ATTivoGYM公式HP|2026年1月調査時点(https://attivo.jp/branch.html)
※5・6・7 2026年12月調査時点